半田市民憲章・春の文化講演会
がんと共に生きる~死からのメッセージ~
しあわせです感謝グループ 久田邦博
講演録
しあわせです感謝グループ 代表 三重大学・名城大学・北里大学非常勤講師 久田 邦博
がんと共に生きて18年が経過しました。がんと共に生きている証拠として現在も抗がん剤を毎日服用しています。告知を受けて絶望感に浸っていたのは2週間ほど、その後1年間は死と向き合うことによりメッセージを受け取り、人生で大切なことを学びました。知らず知らずのうちに気持ちが回復していきました。そして、ある日突然、新たな生きがいを見出した時に発病前以上に活き活きとして人生を楽しんで過ごすようになっていました。がんになっても人生は楽しめます。がんが消えなくても生き生きと過ごせます。普段はがんピアサポーターとして不安な気持ちを受け止めながら解消できるように対応しております。今回は多くの方に知って頂く機会を頂き心から感謝しております。
がんになってから回復するまでの私は3つのプロセスを経験しました。枯れる時期、根を張る時期、そして、新芽が出る時期です。枯れる時期はがん告知により突然死を意識することになり心が揺れ動く時期です。夢が消失し生きる意味を見失い絶望感に浸りました。その後、白血病であることを受け入れると落ち着き始めました。死と真剣に向き合うことによりと様々なメッセージを受け取り始めました。これが根を張る時期です。
入院中にニューヨークのテロは起きました。テレビでニュースを観ているうちに心に浮かんできたのが、「死は誰にでも平等にやってくる。死はいつやってくるか誰も予想できない」というメッセージでした。 私は自分だけが死に向かっているのではないことに気づき、気持ちが楽になりました。そして「やりたいことを先延ばししない」と決めました。次に浮かんだのは「経験できるときに何でもやっておこう。二度とチャンスは来ないかもしれない」でした。この時から与えられたことには果敢にチャレンジしました。一番重要なメッセージは「死ぬまでは生きている」でした。命が燃え尽きるギリギリまで力強く生きると決めました。さらに「人生の価値は長さではなく、いかに充実させるかである」と考えが浮かび、死を恐れず毎日を充実させ、がんが治ったかのように生きることにしました。この日から飲み会に参加したり深夜まで騒いだりするようになりました。
新芽が出る時期は、がん告知より1年経過した頃からでした。私は営業から研修部門に異動していました。6人の新入社員を受け持つことになった時、「自分がこの時代に生きていた証を彼らの記憶の中に残していきたい」と思いました。この新たな生きがいは生きる力がみなぎってきました。そして、心に残る実践的な研修を提供するため、様々なセミナーに参加したり書籍を読み込みました。それを実践しプログラムを描き新人たちに研修しました。最初は生きている間にスキルアップしたいと考え猛スピードで学んでいましたが、そのうち死をも忘れて夢中になって取り組んでいました。この時に学んだ心理学等がその後に良い影響をもたらしました。以上のことからがんになっても生き生きと過ごすことができると私は考えています。
当日の講演ではしあわせです感謝グループによる「自分を癒すコツ10か条」をお話ししましたが紙面の関係で項目だけをご紹介します。
最後に私が普段から習慣にしている「しあわせです♥感謝」という言葉の魅力ついてお話しします。どんな辛いことがあっても最後に「しあわせです♥感謝」と発すると、辛い経験にも感謝の念が芽生えしあわせに満たされます。例えば「つまずきました。しあわせです♥感謝」と発すれば「つまずいたこと」にも感謝出来しあわせに満たされます。私は「白血病になりました。しあわせです♥感謝」と心から喜びを感じています。この言葉が広く活用されれば争いが起きない平和な社会になると信じています。習慣にすれば常に感謝としあわせに満たされる人生を送ることが出来ます。是非皆様もこれを口ずさむことを習慣にして頂き多くの方に紹介してください。目を通して頂き、しあわせです♥感謝 以上